蟲師 20話

 地上波ではこれでおしまい。そしてBSは映らないので、見られるのはここまで。
最後なんで何か書こうと思ったんだけど、これまで同様コメントが出てこない。
蟲退治の話を文字に綴る宿命を負った淡幽と、風変わりな蟲師、ギンコの交流。
普通の蟲師とは違った在り方で蟲と付き合っていかねばならない淡幽にとって、
ギンコは心許せる存在となったってことか。小林愛のこういう役はいいなあ。作画、
演出共に常以上に気合入ってた。ほんと手間掛けてるよなあ、脱帽。
 シリーズを総括すると、話をいかに物語るかに重点が置かれた作品だったかな。
作品を繋ぐのは蟲という驚異の存在で、各話ではそれと人々の関わりによって
生まれる奇憚がただ語られる。蟲師のギンコは狂言回し。こう考えると、筆の海で
一応の区切りという構成も中々意味深。話数については予め決まってた様だし。
ああ、やっぱり表現力が不足してる。大した言葉が出てこないや。まあ、それだけ
はまったということで。TVシリーズでこのクオリティを実現したのは見事。
演出(というよりは監督か)による作品のコントロールが徹底していた。
原作物のアニメ化として、稀に見る幸せな形。原作を空気までそのままに
別の媒体へ移植するというのは、大変困難なこと。そのための数々の工夫が
さりげない形で凝らされていた。こだわった音響演出、美しい背景美術、安定
した作画。特に人の動きは基本2コマという作画への手間の掛け方は印象的。
文字や笹といった普通はCGで済ませるようなところまで作画で、というのは
尋常じゃない。声優の使い方も、作品に合わせナチュラルなものになっていた。
的確な演出による作画の完全なコントロールというのは両者の関係の
1つの理想形だと思うけど、この作品ではそれに近いことが
やれていたのではないだろうか。最近のTVアニメの例に漏れず、この作品も
決して楽な制作スケジュールではなかったみたいだけど、質を落とさず
維持し続けたのは立派。長濱博史もアートランドも今後の作品が楽しみ。