うえきの法則 51話

 才数を巡る駆け引き。窮地に陥る植木に力を与えたのは、共に戦ってきた
仲間。そして放つ最後の一撃。ヒデヨシの人知れぬ大活躍により、消滅を
免れ植木の勝利。最後まで自分の思いを貫き通したのが勝因、ということで。
たっぷりのエピローグの最後の最後で明らかにされる植木の選んだ
空白の才の中身、再会の才
 いや、大満足。ラストバトルで頭脳戦が重要になるのはこの作品らしい
ところ。それになんといっても才数の増減という初期設定をここで
持ち出してくる発想。本当に原作の終盤は展開が冴えまくっていた。
それを見事にアニメ化したスタッフも素晴らしい。今回はキャラデの
田頭しのぶが作監で、原作を強く意識した絵柄。演出含め雰囲気を原作に
近づけようとしていたのだと思う。アニメのみの視聴者は違和感を覚えた
かもしれないけど、それでも力のある画面から伝わって来るものはあったのでは。
ところで今回のキルノートン、原作と違い森に洗脳されてなかったのにあの言動。
自己暗示がきっかけになったのかアノンの一撃で頭部を強打でもしたのか。
ともかくここに1人の真性メガネフェチが誕生したことは間違いない。
不満があるとすればただ1つ。よりにもよってあそこでテロップが入るとは。
普段なら仕方ないと思って特に気にしないんだけど、流石に今回ばかりは。
 シリーズ全体について。第1話を見たほとんどの人はうわ、駄目だと思ったはず。
序盤の話は本当にしょーもない。原作ではこれに加え絵もしょーもなかった。
それがドグラマンションの辺りでターニングポイントを迎え、マリリンチーム戦
位まで来ると素直に面白いと言えるまでに。原作を追っていたときに感じた
この作品(作者)の成長は、アニメでもしっかり味わうことが出来た。こと序盤に
関しては、アニメスタッフの頑張りのおかげで、原作よりも数段見やすく
なっていたと思う。ここまで原作の魅力を引き出すことが出来たのは、一年枠で
時間があったというのも大きい。そこにペース配分を考えてくれたおかげで、
大事なところをきちんと描くことが出来た。個々の話を見れば勿論出来不出来、
当たり外れはあるのだけど、全体としては十分すぎる出来。わたなべ監督以下
スタッフの皆さんお疲れ様でした。そして原作を大切にして素晴らしい作品を
つくり上げてくださって本当にありがとうございました。
 作画や声優についてなどまだまだ語りたいことはあるので、それはまた追記で。
[追記]
 この作品の見所といえば、豪華なキャスティング。レギュラー陣に若手、
中堅の旬の人気声優を配し、ゲストには若手から大ベテランまで多くの
有名声優を起用。ロベルト十団なんてまさにそれだし、3次選考でも各チームに
必ず1人はベテランが。しかしそれは決してネタ作りのためだけのものではなく、
適材適所ということが考えられていた。能登麻美子の鈴子や堀江由衣
ペコルなどありがちな役柄を外した使い方も、結果的には成功。声優アニメ
としても楽しめた。
 声優だけでなく、作画もなかなかのもの。基本は総作監をおいて崩さない
というディーンらしいものながら、キャラの演技(表情含)や動きにも見所があった。
…話のヤマと作画の良い回がずれることもしばしばだったけど。個人の仕事で
印象に残ったのは総作監の堀越久美子に加え、松竹徳幸。序盤では動作一原の
クレジットで何度か参加し、動きのレベルを上げていた。原画での仕事としては、
39話でレベル2になったマリリンが涙を流しながら植木にラッシュを浴びせる
辺りが好き。殴られた瞬間の植木の顔がすごいことに。松本憲生に似た感じ
の描き方。その直前、マリリンの踏み込みで石畳が大小の直方体に割れるのも
面白い。最終回でも森の印象的なシーンを担当。作画とはちょっと違うけど、
22話と45話でコンテ・演出の名村英敏もとても良かった。動きの見せ方、空間の
使い方が上手い。巧いアニメーターにも支えられ、どちらの回も見ごたえの
あるものになっている。中でも22話Aパートのバトルは特徴的。このように
いろいろな面で楽しめる要素が多いアニメだった。
[追記の追記]
 作画についてもう1人、辻美也子も。作監の仕事はマリア様が見てる
くらいしか憶えてなかったけど、動かす話を担当してもなかなかいける。