BLOOD+(終)

 本来の意図はどうあれ、ハジの「ナンクルナイサ」は笑いどころだと思う。
・ディーヴァのシュヴァリエについて。
 アンシェルって前回で死んでるよね。キャラとして。今回はハジ生死不明
という状況をつくるためだけに登場。なまじタフだと何かと大変だ。
 「ネイサン」って前回で死んでるよね。今回名無しでの登場だったし、
ネイサン・マーラーはあくまでディーヴァのシュヴァリエとしての名ということか。
先代のシュヴァリエなら、生きているのは別に不思議でもない。
・小夜の選択について
 双子を前にした時の舞台の上でのカイ、ハジとの一場はちょっとした見物だった。
演出したネイサンも絶対どっかで見てたよ、あれ。思想的には全然前進してる気が
しないけど。むしろ後退?結果的には翼手を殺してきた理屈を曲げてるわけだし。
しかし、個人の生き方の問題として決着つけるなら、アメリカを大きく扱う必要
なかったよな。あ、「さようならもう一人の私」については、
そんな簡単に総括するなよ、と思った。そりゃ小夜の主観ではそういう理解かも
知れないけどさ。本当にディーヴァと正面から向き合っていれば、そういう一方的な
言い方にはならなかったのでは。
・脇キャラとかもろもろ
 概ね納まるところに納まったという感じ。意外だったのは当局の潜入捜査官だと
発覚したアルジャーノンの部下くらいか。岡村と真央が真央の実家相手に
どう立ち回ったのかはすごく興味がある。
・最終回全体として
 予想を大きく裏切ることはなく、予定調和的にまとまった。(かなり無理してるが)
ただ、翼手と人間の関係についての根本的な問題が解決したかというと、微妙。
人の愛情を信じましょ、ということで次の世代へ先送りバトンタッチ。
 今回は演出が上手かった。レイアウトもバシバシ決まってたし、
BGMの使い方も良かった。作画も派手さはないけど充実してた。


 1年間を振り返ってみると、迷い続けた小夜の姿がそのままシリーズの出来を
象徴してたな、と。薄い内容の上、やろうとしてやりきれなかったことを
たくさん残しながら、なんとかゴールにたどり着いた感じ。
作画や演出が傑出した回は特に無し。劇場クラスの拘束アニメーターもほとんど
参加しなかった。グロス回多かったし、1年4クール作品を回すための
I.Gの体力・ノウハウの不足を感じた。TVシリーズを甘く見てたのでは。
個人的には作画の塩谷直義、大久保徹、演出の誉田晶子といった
若手スタッフが力をつけて来ていることが確認できたのがせめてもの収穫。
ともあれ、スタッフの皆さん、オリジナル作品で1年という長丁場、
本当にお疲れさまでした。