今月の『日本の美術』は久隅守景の号だったのだけど、
巻末に著者で『時をかける少女』劇中の展覧会監修でもあると松嶋雅人と
細田守の対談が載っていて、これが充実している。
時かけ』の展覧会の話(最初千昭が見に来る絵は実在の
後鳥羽院隠岐配流図屏風」にするつもりだったとか)に始まり、
アニメーション演出の視点から久隅守景の作品を語るという
興味深い内容。同ポ繰り返しやイマジナリーライン破り、
異世界ではキャラの輪郭線の色を変える、といった個々のテクニックに
ついて自身で触れているのが珍しい。作品をつくる際の姿勢に関しては、
8割エンターテインメントをやったとしても残りの2割(もしくはそれ以上)で
それとは別の何かを込めることが商業的な要求を超えたものを
つくることに繋がる、子供のときに見たものを大きくなって見返した時に
また別の発見があるように考えている、等々。
対談のテーマに近いところでは、アニメーション演出を狭義には
映画と漫画の間、広義には演劇と絵画の間にあるものと位置づけ、
意識するとせざるとに関わらず先行する豊かな伝統の上で仕事をしている、と。
全14P、活字媒体のインタビューや対談の中ではかなり濃いほうではないかと。