天保異聞 妖奇士

 「芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也」 by近松門左衛門
 宰蔵が狐に化かされる話。凝った道具立ては良かった。
肝心の宰蔵の悩みは、歌舞伎という男性の世界の中で自分が女性であることへの
コンプレックスから来るものなんだろうけど、罪ということを意識しすぎの
ような。普通は名前の字なんて起源などではなく、今使われている意味を考えて
つけるよなあ。過剰に見える反応は当時の人間のメンタリティに合わせた
つもりなんだろうか。いや、それにしても。実は失火が意外に深く関わってたり?
馬に乗って登場の往壓にちょっと笑った。奇士たちのキャラは立ちつつあるか。
雲七のキャラは良い。でもその世話をしているアトルは吉原から出ていいの?
いくら預かり人とはいえ。
 やりたいことを表現するのに作画が十分で無いように思える。
時間の無さは如何ともしがたいのか。回単位ではなくパート単位でしか
良さを期待できなくなりつつあるのが悲しい。頭の「暫く」は好みかも。